こんにちは。
あなたは会社から英文契約書を読んで理解できるように求められ、困っていませんか?
大手企業なら法務部など充実。でも中小企業では専門部門なんてなく、あなた自身が力をつけるしかないのです! そう、トホホなのです!
特に海外取引にまだ慣れていない中小企業では、社内に人材が少ない場合は大変だと思います。しかし契約するにはスピードも命!もたもたしてたら契約のチャンスを失ってしまいます。
海外契約書を理解できる人
つまり、あなたが少しでも「海外契約書を理解できる人」になるしかありません!ぜひ社内にいる上司や先輩に教えてもらいましょう。・・・って、彼らは忙しく時間がない筈。
で、法律の専門家でもない私でなんですが、中堅企業で単に長く(?)海外貿易をしてきた経験から、ちょこっと基礎だけを下記の通りアドバイスさせてください。
内容は次の通りです。
- 英文契約書に関する本を読んで基礎知識づくり
- 貴社にある英文契約書を読んでみましょう
- 特殊な表現に慣れちゃいましょう
先ずは全体像をざっくり理解する方法です!
1.英文契約書に関する本を読んで基礎知識づくり
英文契約書をいきなり英和辞書(ソフト)を使って英文とにらめっこしても大変です。
先ずは英文契約書の本、それも分厚い専門書でなく、概要がわかる程度の薄い本(または読みやすい本)を読みましょう。全体像がザクっとでもわかると、将来的に楽になります。
1-1.英文契約書の基礎固め (契約文は記載していません)
まずは薄い本(または読みやすい本) を読んで契約書の全体像をつかみましょう。
最初から分厚い専門書に挑戦したり、英語の特殊な言い回しに一つ一つこだわりはじめると進みません。
もし自社製品(機械など)を単純輸出するのであれば、分厚い専門書の「ライセンス契約」だの「合弁契約」など大半の項目は不要ですね。
英文契約書の基本的構造さえつかめば、後は自社が実際に締結した契約書を読んで、各条件を理解する方が効率的です。
ただ英文契約書に挑戦する前に、簡単な貿易(輸出入)の基礎 (船積条件:FOB・CIFなどの基礎知識)は事前に理解しておきましょう。
あなたが全く何も分からない状態なら、貿易実務に関する薄い本を並行して読みましょう。
また、銀行決済方法(送金や信用状など)も大切な基礎知識ですので、「外国為替」に関する薄い本を一冊だけでも読むといいです。
理想は①貿易実務 → ②外国為替 → ③英文契約書の順に理解するとよいと思います。
が、時間なければ、できるところから薄い本でザっと克服していきましょう。
逆にこれらを面倒くさがって十分理解せず契約し、後で大変になった営業員を何人か見てきました。基礎だけなら薄い本で短期間に学べます。
そして特殊なケースが発生しても、基礎がわかっているので、その都度上司や先輩、そして顧問弁護士(会社が雇用している場合)に堂々と相談できます。
売上UPのため契約獲得を優先しあせるのも当然わかります。が、最低の知識だけは把握していた方が会社の危機管理につながりますね。
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ご参考まで、 おススメ本を紹介します。
でも時間があれば、書店でご自分に合う本を選択するのがベストですね。
【貿易実務】
また、ちょっと高額ですが・・・
【外国為替】
また、ちょっと高額ですが・・・
それでは【英文契約書】について下記をお読みください。
1-2.英文契約書の構成 代表的条項の理解
だいたい4つのパートに分かれており、おそらくどの契約書も同じような感じではないでしょうかね。
ご参考までに、英文国際契約と日本国内契約では考え方が違うようです。
英米の契約では「人間性悪説」、国内は「人間性善説」という感じです。
英米契約では、契約したことは誠実に実行。でも記載ないことは相手に要求しないのも誠実な態度!
国内契約では、内容の重要なことだけ簡単に書いて、問題起きたら「まあまあお互い人間!何とか友好的に話し合い穏便に解決しましょうや」的な感じでしょうか。(かっこいいのか悪いのか)
英文契約書の構造に慣れてくれば、あとはどの会社との契約も同じ様な感じなので楽になりますよ。
1-3.注意事項/変化など
英米法下での英文契約書は、長い年月をかけて作りこんであり、法律家を守るため閉鎖的な社会をつくっているので、わざとわかりにくいように作ってあるようです。
昔クリントンさんが米国大統領の時代に、専門用語は別としても誰でもわかるように「やさしい英語運動」を進めたれらしいです。
でも現状から、どうもダメだったみたいで難しいままのようです。
余談ながら、Insurance Policy(保険証券)も裏面の説明はとても小さい字で書かれています。大変むずかしく、なかなか読んでも意味が理解できません。
でも将来何かあると困るので、いつか時間があるときにだいたいどこらへんに何が書いてあるか項目だけ読んでおくといいですよ (無理して全部理解しようとせず)。
国際契約に関し、貴社にもJETROや他の団体から法律セミナーの案内(有料・無料)などが届いている場合があります。
その中に英文契約書セミナーがあれば是非参加するといいでしょう。当日もらえる資料が結構あとあと参考になったりしますよ。
またI/P(=保険証券)で不明な点があれば、契約している保険会社に何でも問い合わせましょう。彼らはいつも喜んで説明に来てくれる筈です。
またあなたの会社で数人集まれば、彼らはサービスで勉強会まで開いてくれるケースもあります。
扱う製品やサービスごとに付保範囲や内容が微妙に違います。この辺も説明してくれる個別の勉強会(=保険説明会)を積極的に利用しましょう。(できれば下っ端(失礼!)の貴方から企画や希望を出すとスゴイです)。
だいたいの全体像がつかめたら、次は自社の英文契約書にトライしましょう。
2.貴社にある英文契約書に挑戦(契約文は記載していません)
2-1.貴社の英文契約書にトライ (注:契約文は記載していません)
基礎がわかったところで、実際に貴社が締結しているいろいろな契約書を読んでみましょう。
契約フォームや内容に多少違いがありますが、全体的に基本構造は同じだと思います。できるだけしっかり英文内容を読んでみましょう。(ただし悩みすぎないようご注意を。苦手意識がつくと逆効果)
もし貴社で作成した契約書がベースなら英文読んでも理解は比較的楽ですね。
それでも海外客先と交渉中に、現場で契約内容の一部が修正されることがよくあります。
契約書に苦手意識がなくなり、どこがどう修正され問題ないかどうか気づけると、周りから「あんたは~っ、スゴイ!」と信頼されるようになりますよ。
2-2.契約先への警戒チェック
少しずつ慣れてくると、ただ読めるだけでなく、契約相手ごとに注意してチェックすべき箇所がわかるようになります。
特に今GDP世界2位のあの国の契約相手企業は、とても紳士的な企業もあれば、そうでない企業も多くあります。
ひどい時は、急に現地港に貨物到着しているのに受取拒否したり、支払遅延するのは当然だ!みたいな態度だったり。
契約条項に抜け目がないか、将来ご自分でも指摘できるレベルになるといいですね。
2-3.業者さんとのお付き合い (あくまで個人的意見です)
英文契約書の内容にそぐわない問題が発生したとき、原因が自社製品なら自社内で解決ですね。
でも国内輸送や港湾事情が原因で船積み遅延が発生(輸出の場合)なら大変です。特に契約条項に遅延による罰金規定などあれば、なおさらです。
こんなときはコンプライアンスの範囲内で(上司にOKとってから)、懇意の船積代理店=乙仲(おつなか)さんに相談しましょう。蛇の道は蛇ではないですが、コネでなんとか助かるケースが結構あります (←ケースバイケースで断言できませんが)。
品質や損傷のクレームなど発生なら、保険会社の担当者に相談をするとよいでしょう(クレーム処理は基本的に輸出先国(=輸入国)の保険代理人で処理となり、本来はノータッチ。相手によってはいつまでも埒があかず、貴社判断でサポートしてあげる場合)。
要は、いつも仲よく対応していると、いざというときに良い助言をもらえることが多いです。
英文契約書の内容をもっと深く具体的に知るために、乙仲さんや保険会社さんに、小規模セミナー(勉強会)を依頼してもいいですね。
彼らは喜んで応じてくれるはずです。
今はコロナ禍で難しいかもしれません。でも将来コロナ収束に向かえば、ぜひ依頼してみたらいいと思いますよ。
私は何度か上記をアレンジしましたが、社内の関係者(海外営業員だけでなく経営陣/上司/他部門も)にとっても大変勉強になりよかったです(何よりも社内全員で共通認識がもてて後の話がはやい)!
さて次は、英文契約書を読む(または作成する)にあたり、ご参考として独特の表現や単語の訳し方を簡単にご紹介します。
3.特殊な表現に慣れちゃいましょう
独特な言いまわしや単語の意味は、たくさん書籍にのっていますので、詳しくはそちらをご参考ください。
英文契約書の英単語には一般的文章の時と違う使い方や和訳がありますね。あくまで参考として、さわりだけ簡単にご紹介!
3-1.助動詞!
- “shall” は「~しなければならない」の【強制や義務】、「~するものとする」の【前提】
- “shall not” は「~してはならない」という【禁止】
- “must” は 「~(の資格を持つ人・~の市民など)でなければならない」
*契約書で【義務】は”shall”をつかい“must”は使わない - “may”は「~することができる」【許可】
*契約書で「~する権利がある」には使わない方がいい - “can” (“cannot”)は 契約書では原則あまり使わない
- “should” は、”would”や”could”,”might”と同様に意味が曖昧→”shall”をつかう
- “will” はあまり契約で使われない。「将来だれだれが~する」など将来の期待を述べる時のみ使う
3-2.間違いやすい法律用語
- action 訴訟 (行動ではない)
- answer 弁済する (答えるでない)
- avoid 無効にする(避けるでない)
- charge 控訴する(請求するでない)
- consideration 対価/約因 (考慮でない)
- contest 異議申し立て (競争/コンテストではない)
- damages 損害賠償 (損害でない)
- decision 判決 (決断ではない)
- execute 契約を調印する (執行するでない)
- file 訴訟を提出する(書類を綴じることではない)
- forum 法定の場所、裁判開催地 (広場ではない)
- frustration 喪失 (欲求不満でない)
- good faith ある事実を知らずに行動すること(誠実なことではない)
- goodwill のれん・営業権 (善意でない)
- hand 署名 (手ではない)
- instrument 証書/文書 (機器・道具ではない)
- in camera 非公開で (カメラの中ではない)
- judgement 判決 (判断ではない)
- majority 成年 (多数派ではない)
- motion 申し立て (動作/運動ではない)
- of course 権利の問題として (もちろんではない)
- party 当事者 (宴会パーティーではない)
- performance 履行 (成績・パフォーマンスではない)
- personal property 動産 (個人的財産ではない)
- settlement 示談(和解)/財産の贈与 (定着/移住ではない)
- service 送達 (サービス/業務ではない)
- suit 訴訟 (スーツではない)
- without prejudice to ~に対する権利を失うことなく (偏見を持たずにではない)
などなどたくさんありますが、まずは貴社の契約書にでてくる単語だけをまず覚えましょう。
4.まとめ
それでは本記事のまとめです
- 英文契約書に関する本を読んで基礎知識づくり
・薄い本(読みやすい本)で全体像を把握し基礎固めをする
・構成と代表的条項を知る
・法律セミナーや取引業者に勉強会を依頼する - 貴社にある英文契約書を読んでみましょう
・交渉現場で修正されても気づけるくらいに読めるといい
・業者さんと日頃仲良くしているといざ困った時に助けてくれる(個人的意見) - 特殊な表現に慣れちゃいましょう
・英文契約書で使われる助動詞をちょっと知っておくと便利
・自社関連でよく使われる法律用語を知っておくと便利
それでは基礎固めから頑張ってくださいね~!
以上、最後まで記事を読んでいただき有難うございました。
それでは、また!
*** 英会話で ****************
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