職場で上司から英文メールや英文記事の一部などを「ザっと日本語に翻訳して」と頼まれることがあります。
こんな時は無料翻訳アプリやChatGPTなどAIでスピーディに処理し、とりあえず意味さえしっかり把握できればOKですね。
和訳をちょっとレベルアップ!
でも「万年こればかりじゃ…もっと成長したい!」という方は、本記事で産業翻訳【英→日】のテクニックを一部ご紹介しますので、ぜひ明日から試してみませんか。
けっして文学的にならず、かつ翻訳臭を無くした和訳ができ、少しでもレベルアップを感じることができますよ。
産業翻訳など「翻訳の世界」では、学校や英検・TOEICなどはもちろん現時点でのChatGPTの翻訳とは、どうも別の英語領域のようです。
(注:ChatGPTで”自然な日本語に”を条件に翻訳を2回まで試し検証)
もし本記事にご興味があれば、ぜひこのまま読み進めてくださいね。
なお本記事は、主に下記の書籍を参考にしました。
それでは和訳のコツをお楽しみ下さい。
■ もうちょっといい和訳をするコツ
オンライン英語コーチ「スピークバディ パーソナルコーチング」1. “will“ の訳し方
中学や高校では「~でしょう」「~だろう」と推量のように習いましたよね。でも実際は推量じゃないんですね。(注:文法書によっては例外的に少しだけ推量の例文ありますが)
“will“は「~ことになる」「~する(ことになっている)」「~はずである」「~つもりだ」「(ふつう)~するものだ」「よく/いつも~する」など確実な未来を表現しましょう。
AAA will take about 15 minutes before XYZ stabilizes.
△:XYZが安定する前に、AAAは約15分かかるでしょう。
〇:XYZが安定するのに(まで) AAAは約15分かかります。
This system will be controlled by XYZ.
〇:このシステムはXYZによって制御されます。
2. “some”の訳し方
「いくらか(の)」→「一部の」など別の訳語をトライしてみましょう。
Some Japanese think AAA was a problem.
△:いくらかの日本人はAAAが問題と考えています。
〇:一部の日本人はAAAが問題だったと考えています。
また “some”など数量詞は述語として訳すと下記のように日本語らしくなります。
Some Japanese think AAA was a problem.
△:何人かの(一部の)日本人はAAAが問題だったと考えています。
〇:AAAが問題だったと考える日本人もいます。
〇:日本人の中には、AAAが問題だったと考える人もいます。
3. “many”, “most”, “a few” 形容詞→名詞に変換トライ
「多くの」「ほとんどの」「少数の」などを「~の多くは」「~のほとんどは」「~の少数派は」など名詞に変換してみましょう。(形容詞→名詞に変換)
Many Japanese think AAA was a problem.
多くの日本人は… → 日本人の多くは…
Most Japanese think AAA was a problem.
ほとんどの日本人は… → 日本人のほとんどは…
A few Japanese think AAA was a problem.
少数の日本人は… → 日本人の少数派(の人たち)は…
4. “many”, “most”, “a few” 数量詞→述語で日本語らしく
Many Japanese think AAA was a problem.
Most Japanese think AAA was a problem.
AAAが問題だったと考える日本人がほとんどです。
A few Japanese think AAA was a problem.
AAAが問題だったと考える日本人はわずかにいます。
5. “sometimes”, “often” など後ろにつけて翻訳トライ
”sometimes”, ”often”の「ときどき」「しばしば」など頻度を示す副詞は、後ろにつけて訳すのも選択肢の一つですね。
Sometimes new data contains AAA.
〇:ときどき、新しいデータにはAAAが含まれています。
〇:新しいデータにはAAAが含まれている場合も(ことも)あります。
I often take snapshots outside.
〇:私はよく外でスナップ写真を撮ります。
〇:私は外でスナップ写真を撮ることが多いです。
6. 比較級: 言葉を補ったり動詞形にして表現トライ
いつも「より~だ」の訳は直訳すぎて、たまに自分でも嫌になりませんか。
「前より」「以前に比べて」など補って比較の対象を明示すると日本語らしくなりますよ。
Decreasing the AAA has produced better test results.
△:AAAを下げることで、より良い検査結果が得られています。
〇:AAAを下げることで、前より良い検査結果が得られています。△
〇:AAAを下げることで、以前に比べて良い検査結果が得られています。
更に、以前との比較には動詞を使う(良い○○→○○が良くなる)と翻訳臭が無くなります(ただし社内用はここまでは不要かも。あくまで自分磨き!)
Decreasing the AAA has produced better test results.
△:AAAを下げることで、より良い検査結果が得られています。
〇:AAAを下げることで、検査結果が前より良くなりました。
〇:AAAを下げることで、検査結果が以前に比べて良くなりました。
7. 無生物主語: 3つのルールに沿って日本語らしく表現
3つのルールに沿って訳してみましょう。そのルールとは:
This approach allows AAA to keep XYZ.
△:この方法はAAAにXYZを維持するのを許します。
〇:この方法により、AAAはXYZを維持することができます。
〇:この方法を利用すれば、AAAはXYZを維持することができます。
〇:この方法で、AAAはXYZを維持することができます。
無生物主語→副詞句/副詞節で訳すとき、下記のようになります。
「この方法」~によって、~のおかげで、~のせいで (理由)
~すれば、~すると (条件)
~を使って、~で (手段)
注意:「~により」「~によって」は、(理由)と(条件)の両方の意味にとれるので、文脈によっては別の表現を使う方がよくご注意ください。
8. 訳し下げ(順行訳):原文の流れに沿った和訳
「訳し下げ(順行訳)」とは、英文が書かれている順に前から訳していく方法です。で、その反対は学校でお馴染みの後ろから訳す方法で「訳し上げ」と言います。(話の流れが重要)
We used the new measures to obtain a good test result of 92 points.
×:92点という良いテスト結果を得るために新しい方法を使いました。
〇:新しい方法を使って、92点という良いテスト結果を得ることができました。(←話の流れが自然)
参考:”before” と “after“
(分かり易くするため、あえて下記短文で説明します)
“before”なら「~の前に~」の代わりに「~した後~」
I went to AAA before going to BBB.
〇:BBBに行く前に AAAに行きました。
〇:AAAに行ってから(行った後で) BBBに行きました。
“after”なら「~の後~」の代わりに「~する前に~」
I went to AAA after going to BBB.
〇:BBBに行ってから(行った後に) AAAに行きました。
〇:AAAに行く前にBBBに行きました。
訳し下げの注意点
文脈から実際に食べた(目的が達成済み)なら訳し下げできますが、もし不明なら訳し上げをします。
・He went to the restaurant to eat the dish.
彼はその料理を食べ(るため)にレストランに行きました。
→ 彼はレストランに行って、その料理を食べました。
注意:レストランに行ったが、”気が変わって違う料理を注文”したり、”店が閉まっていた”などの可能性があれば「訳し下げ」は出来ません。達成済みの場合のみ「訳し下げ」が出来ます。
9. 「の」「や」は多用せず別の表現に変更
「○○の△△の□□のXXは~」、「〇〇や△△や□□やXXは~」はいかにも読みにくいですね。
名詞をまとめたり、表現の言い換えをして分かり易い和訳になるよう工夫してみましょう。
The cost of living for most Japanese students at this school is getting harder.
×:この学校のほとんどの日本人の学生の生活費はますます厳しくなっています。
〇:この学校にいるほとんどの日本人学生の生活費はますます厳しくなっています。
〇:この学校にいる日本人学生のほとんどは、生活費がますます厳しくなっています。
10. 「~は~が」構文を意識して和訳トライ
日本語では「~は~が~だ」の形が頻繁に使われます。この形(「は」「が」構文)に和訳できれば日本語らしくなりますよ。
9-1 Have動詞
AAA has the best sales in this field in the world.
AAAはこの分野で世界最高の売上を誇っています。
↓↓↓
AAA社はこの分野での売上げが世界最高です(となっています)。
9-2 所有格
This roller’s surface is prone to damage easily.
このローラの表面は簡単に損傷を受けやすいです。
↓↓↓
このローラは表面が傷つきやすくなっています。
9-3 動詞+er(人)
They are excellent drivers.
彼らは優れたドライバーです。
↓↓↓
彼らは運転(をするのが)がとても上手です。
9-4 形容詞
He is imaginative.
彼は想像力が豊かです。
↓↓↓
彼は想像力が豊かな人です。
今回の記事は以上です。お疲れさまでした。もし次回機会があれば、他のコツも追記します。
それでは”まとめ”を下記しますのでご参考下さい。
■ まとめ
スピークバディ パーソナルコーチングたまにはちょっといい和訳をする方法
- “will“ は推量の「でしょう」「だろう」で訳さない
- “some” は別の表現や述語として訳すと日本語らしくなる
- “many”, “most“, “a few” 形容詞→名詞に変換してみる
- “many”, “most”, “a few” 数量詞→述語で日本語らしくなる
- “sometimes”, “often” など頻度を示す副詞は文の後ろにつけて訳してみる
- 比較級:言葉を補ったり動詞のように表現すると日本語らしくなる
- 無生物主語:「3つのルール」に沿って訳すと日本語らしくなる
- 訳し下げ(順行訳):原文の流れに沿った和訳が可能となる
*注意点:目的が未達成の場合は訳し下げは不可 - 「の」「や」は多用せず別の表現に変更して分かり易くする
- 「~は~が」構文を意識していろいろ和訳をトライしよう
あなたが従来よりもレベルアップした日本語らしい和訳がでれば嬉しいです。
<余談ですが>
なおもしご興味があれば、和文→英文メール作成について 英文ビジネスメールの書き方:うまい文章を書くコツ【英語初級者】(但し翻訳方法ではありません)をご参考下さい。
最後まで読んでいただき有難うございました。
それではまた!
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